武田鉄矢「今朝の三枚おろし」からオススメ本と、ためになる話。

東海ラジオ・カニたく言ったもん勝ちの9時過ぎコーナー「今朝の三枚おろし」から、武田鉄矢さんが紹介した本や放送内容、ためになる話を記録・紹介しています。

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今朝の三枚おろし【治りませんように/斉藤道雄】

2011年08月15日~08月19日
2011年08月22日~08月26日 AM東海ラジオ放送まとめ

病気は宝。勝手に治すなその病気。


ぎくりとする標語が表題に「治りませんように」
なぜ治りませんように?人間の心を深く探索する。

統合失調症の患者が集う、ぺてるの家。
精神病を患者自らが、自らを研究し、その心を癒しを探る。

治りませんように――べてるの家のいま治りませんように――べてるの家のいま
斉藤 道雄
みすず書房


この本の第一章には、ある青年がアウシュビッツの光景を語る。
焼却炉で家族を焼かれた青年は、施設を出るとき誓う。

「ぼくは幸せになったりはしませんから、心配しないでください。」
幸せにならないことを誓う逆説の考え方、パラドクス。

荒唐無稽な症例

放送できないような妄想・幻覚・幻聴。
ユング・フロイトには足下にもおよばずの実例の研究。
その驚くべき症状の分析はヨーロッパ学会を愕然とさせている。

幻覚に登場する人物は「お客さん」。
聴こえるのは幻聴さんと呼び、客観視する。

まさに荒唐無稽、しかし狂気のなかには秩序がある。
分裂症の人たちの幻覚には、すべて共通項がある不思議。

ユングが古代神話を調べると、
古代の予言者の中に共通した幻覚がある。

狂気という異世界が存在するという、集合的無意識。
それを、べてるの家では当事者たちが考えている。


悩む、疲れる、ヒマで、寂しい、お金がない、お腹が空いた

自傷行為、リストカット、自殺行為…
べてるの家では、全てに報告書を書かせる。

理由は5つ~6つ。これが揃うと自傷・自殺が起きやすい。
「悩む、疲れる、ヒマで、寂しい、お金がない、お腹が空いた。」
頭文字をとって「なつひさお」マスコットにしている。


ひとりひとりのメンバーを取りあげながら、

不安が打ち上げ花火のように次々と爆発、炸裂する。
不安をコントロールできなくなるのが病体の少女。

べてるの家では、生活がうまくいく。
うまくいって社会に戻ろうとした瞬間、不安が強大化して引き戻しにくる。

投薬治療、意識をハッキリさせるエブリファイという薬。
脱力させるリスパダールという薬とのくり返し。

副作用で糖尿になったり太ったりする副作用の薬。
患者は言う「健康な人って、いつもリスパダール飲んでるのか?」
毎日、数百・数千の人とすれ違い、もめ事ひとつ起こさない現代人。

一体、なにが心にとって健康なのか不健康なのか?
心の健康とは何なんだろうか…?

発言がどんどん過激になるメディア、週刊誌。
日本は再来週に滅ぶような勢いで煽る、暴露記事…。
そこら中でガイガーカウンターを振り回す一般人。


健常者の社会と、狂気の社会。
どちらが正常なんだろうか?


2004年、5月。
べてるの家で起きた殺人事件。
メディアから正義論で叱責を受け、激しく罵倒された。


「殺人を犯した患者を放置していた!」

「野放しだった!」

『全国から変な奴を集めていい気になってる奴がいるぞ』という投書。

正義の仮面をかぶって北海道へ向かうメディア。

「人ひとり死んでるんですよ!どうするんですか!」


ひたすら詫びる責任者。
べてるのメンバーは励ましの言葉をかける。

「先生、人間って、死ぬもんだぞ。」

メディアの強い口調とは真逆の一言。
私たちが言い当ててない事実を、言い当てているのではないか?
人間は死ぬという前提のうえで共に生きるという原則。


殺人現場は静かであり、外側がいちばん騒がしい。
べてるのメンバーは、メディアが騒いでいるあいだに、
もうすでに前へ歩み出していたのであった。




2週目。
べてるの家での殺人事件について。
メディアが全く報じなかった歴史的事実がある。

殺された竹内さんの葬儀で、遺族がべてる存続を訴える。
その証として、加害者の両親が葬儀に招かれた。

メディアは、人ひとり死んだのに、何一つ提案できかった。

この激しい叱責は、いま正に重たい。
死んだことを何故!?と叱責するメディア。
メディア自信も、自らが死ぬことを忘れてしまっている。

この病気が治ってしまう恐怖。
また、あの恐ろしい社会に戻らなければいけないという恐怖。
ソーシャルワーカー向谷地さんは言う、

実は、社会のなかに狂気が充満しているのではないか?現代社会で「普通に暮らす人」のなかに狂気が見えてしまう。狂気で発症するのではなく、正気で発症している。彼らは、正気を保つために発症したのである。

震災後、向谷地さんに話しを伺った鉄矢さん。
地震を起こしたのは私だ、津波被害は私のせいです、と言うべてるの患者。
しかし狂気が、正気を教えてくれるのではないか?

私たちが甘えていたのではなかったのか?
私のせいだと引き受ける人たちが、日本を元気にしてるのではないか?



べてるの家精神科医の川村医師。

治さないことが治療なのではないか?と思い始めた頃。
欧米では、統合失調症について、不治の病だと言われていた。

同じ素質、同じ病を持った人々が毎日接して暮らすと効果がある、と報告。
そう言えばユングも、精神障害の素質があり、怯えないために研究をした。

川村医師は、「先生のおかげで治りました」としか言えない
医学に万全はない。治すのは患者自身である。
にも関わらず『先生のおかげ』という言葉は医者として受けとれない。


冒頭のタネ明かし。
アウシュビッツ少年の誓い『僕は幸せになりません。』
この言葉を著者に教えたのは、向谷地さん。

その本はエリ・ヴィーゼルの「夜」だったという。


夜

この本の翻訳者のあと書き、
『私は幸せでくったくのない人たちには読んでほしくない。』
『苦しい思いをさせたくないのです。』

…と、そのあとがきに対し答えた向谷地さんの心の叫びが、
『安心してください、僕は決して幸せになりませんから。』

そうして、向谷地さんは、不幸せになる生き方を選んだ。
不幸になる努力が、幸せなんだという逆説的な生き方。


聞くな、答えろ。

心理学者V.E.フランクは言った。
私たちは人生に問われているのである。

私たちが最終的に問われているのは、死ぬことなんです。
私は、結婚したときにどうやって別れるのか考えてしまう。


二人のため~♪世界はあるの~♪
これは迷惑である。二人は、なぜ幸せなのか?
それは、世界を閉じたからである。

死へのわきまえ。
幸せは、つながりを作ることはできない。
別れ・死を前提に、つながることができる。

震災で私たちは、ただ運が良くて生き残ったのである。
私が死んでも良かった。ただ、運が良かっただけだ。

私たちを励ます言葉、それは、べてるでつぶやかれた言葉。
「人間は、死ぬもんだぞ。」

死者をいたみ、死者を弔い、死者を納得させる言葉を探す。
死者との絆、その言葉こそが向谷地さんの言葉。
『安心してください、僕は決して幸せになりませんから。』



治りませんように(みすず書房)/斉藤道雄


武田鉄矢さんメインパーソナリティ人気ラジオ番組
BBQRインターネットラジオでも無料放送。東海ラジオ「かにタク言ったもん勝ち」9:15頃~放送/平日
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[ 2011/08/26 09:37 ] 【さ】斉藤道雄 | TB(0) | CM(1)
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